君が好きだから嘘をつく
嫉妬
会社から出たあと英輔に電話をかけると電車の中だったらしく、今会社を出たことを伝えた。
すると『駅前のコーヒースタンドで待っていて』と言われて、そのままお店に向かった。
小さなお店だけど、ここのコーヒーは美味しい。
英輔もこのお店知っているんだな~、本当に近くにいたんだなって思うと何か不思議な気持ちになる。

10年という年月が過ぎて、あんなに気まずいと思っていた人とこうして連絡を取って待ち合わせをするようになるなんて。

ホットカプチーノを飲みながら学生時代を思い出す。
英輔と仲良くなり、好きになって想いを伝えた。

あの時は気持ちの勢いに任せて『好き』って言えたのに。

今、健吾に『好き』って言える勢いなんてカケラもない。

それどころか、どんどん自分の気持ちのやり場がなくなっている。
特に今日みたいに2人が一緒にいるところを見ると、心がざわついて抑え方がわからなくなる。
いろんなことを考えて30分位過ぎた頃、大きなバッグを持った英輔がお店の中に入ってきた。

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