太陽と月


どこかぼんやりと部屋の隅を見つめて、そうやって未来の自分を妄想する

すると




「いい夢だね」




不意に聞こえた声で我に返る



わっ!!また私ったら、妄想の世界に浸ってたっ



勢いよくソファーの方を向くと、優しく微笑みながら頬杖をつく大西主任がじっと私を見つめていた




「お・・・大西主任は、自分の時はどんな結婚式にしたいですか?!」



あまりにも恥ずかしくて、勢いにまかせてそんな事を聞く



もう!! 何やってんのよ!!私っ

これじゃ、バカ丸出しじゃん!!



部屋が暗いのはありがたかった

きっと今の私の顔、真っ赤だ



そんな真っ赤な顔を隠す様に、両手で顔を覆う

すると指の隙間から見えた主任が、微かに首を傾げてゆっくりと瞳を細めた

そして




「俺は結婚はしないよ」




聞こえた言葉は、部屋の中に静かに落ちた




「え? 結婚..しないんですか?」

「そのつもり」

「なんでしないんですか?」



大西主任の言葉に、何故か一気に胸が締め付けられた


結婚しない? なんで? どうして?

それに、なんだろ...胸が苦しい

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