太陽と月
息苦しさを憶えて、無意識に胸に手を当てた
すると
「そこまで想える人がいないから」
そんな私を置いて、続ける様にそう言う大西主任
いつもみたいに、柔らかく微笑んでいるのに、その声はどこか空っぽの様に感じる
ドクドクと心臓が大きく体を叩く
目の前にいる主任が、なぜか遠くに感じた
「もしかしたら...現れるかもしれないですよ?」
「現れたとしても、結婚したいとは思わないかもしれないな」
「ど..してですか?」
主任の言葉を聞く度に、私の中の何かが泣いている
悲しくて、苦しくて
耳を塞ぎたくなる
それなのに―――その言葉の先を知りたい自分もいる
「瀬川は...さ。運命の相手っていうのは信じてる?」
唐突に投げかけられた言葉に、一瞬訳が分からなくなる
運命の..相手?
そんなの
「もちろん。信じてます」