太陽と月
「おはようございますっ」
「おはよ。紅茶飲む?」
「え? あ、紅茶の匂いだったんですね」
勢いよくお辞儀をした私に微笑みかけながら、ゆっくりと紅茶をカップに注ぐ主任
キラキラと黄金に輝く紅茶から、ふんわりと花の香りがした
「以前お客さんから、お土産で貰ったものなんだ」
「お花のいい香りがしますね」
「社内は珈琲派が多いけど、俺は断然紅茶派」
そう言って、宝石の様に輝く紅茶の入ったカップを私に手渡す主任
そして、同じ様に注がれたカップを片手で持ち、壁に背を預けながらゆっくりと飲み始めた
眩しい程の朝日を浴びて紅茶を飲むその姿が、惚れ惚れする程カッコイイ
まるで何かのCMみたいだと思って、その端正な横顔に釘付けになる
「よく眠れた?」
すると突然、カップを口につけたまま横目で私を見て、そう問いかける主任
その声で止まっていた時間が一気に動き出した