太陽と月


大西主任といると、心がポカポカする

その笑顔を見るだけで、幸せになれる

もっともっと、主任の事を知りたくなる



何も言わず穏やかな表情で中庭を眺めながら紅茶を飲む主任

その姿を既に空になったカップを握りしめながら見つめた



なんだか、この空間がとても居心地よく感じて、ずっとここにいたいと思ってしまう

時間が止まればいいのに。なんて思っちゃう

すると




「うん。美味かった」




再び動き出した時間の中で、満足そうに息を吐いた大西主任

それと同時に、固まっていた頭と体を動かす



「あ、私洗っておきますね!」



ふぅーと大きく溜息を吐いた主任のカップを貰って、既に飲み終わった自分のカップと共に洗い場まで駆ける



昨日からお世話してもらってばっかりだ

少しくらい何かしないと



そう思って、業務用の深いシンクの中にカップを置いた

すると、ちょうど近くにあったカセットコンロの上に置いてあるヤカンが目に入って、それも洗おうと何も考えずに勢いよく掴もうとした

その時――




「うわっ」



ヤカンの持ち手の部分が不安定になっており、お湯を捨てようと斜めにした瞬間、あらぬ方向に傾いたヤカンの蓋から熱湯が溢れ出た来た

そして勢いよく飛び出たお湯は、不運にも私の腕目掛けて飛んできた
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