太陽と月



「暑いな~」

「溶けそうです~」



まだまだ日の高い太陽を恨めしそうに見つめる大西主任に並んで

目を細めて真っ青な空を見上げる



平日の今日は休日の戦争の様な日々とは、うって変って穏やかな時間が過ぎていく

大西主任と同じお客様を見る様になってから、私も少しづつ本番でも仕事ができる様になってきた

それでも、根本的にドジでノロマな私は、独り立ちなんて、まだまだ夢の話――





「アイスでも食いたいな」

「あるんですか!? アイス!!」

「昨日シェフが試作で作ったジェラートが残ってる」

「食べていいんですか? それ」

「もちろん俺達だけの秘密」




ガーデンの庭の掃除をしながら、大西主任がぺロっと悪戯っ子の様に舌を出した

その様子を見て、キョロキョロと辺りを見渡してから小声で主任に話しかける




「冷凍庫から持ってきますねっ」

「あ、俺パイナップル」

「了解しましたっ」



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