太陽と月


同じ様に小声でそう言った主任に、ビシッと敬礼をしてから箒を置いてバタバタと厨房に向かう

建物の中に入ると、そこは外とは天と地の差で、まさに天国の様な涼しさだった




「冷房最高...」



額に滲んだ汗をタオルで拭きとって、大きく溜息を吐く

東京の暑さは想像以上だった



そりゃ田舎に比べれば、人も建物も車も多いし当たり前なんだけど

息をするのも苦しいって、尋常じゃないよ




「ジェラート、何味があるのかな」




キョロキョロと辺りを見渡して、人がいない事を確認する

きっとみんな事務所にいるんだろう

厨房へと続く廊下には誰もいない



よし!!



小さく胸の前でガッツポーズをしてから、音を立てない様にパタパタと駆けていく

そして、ちょうど曲がり角を曲がろうとした時―――




ドンッ!!!




「いたっ」



勢いよく反対から何かが駆けてきて、出会い頭にぶつかった

その勢いで地面に倒れ込んだ私

じんじんと痛むお尻を押さえて、慌てて目を開ける

すると
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