太陽と月


「ありがとう」



綺麗な声はどこまでも響く

温かくて柔らかい空気が彼女を包んでいる




「春斗、ちゃんと謝ったの?」

「ごめんなしゃい」

「そっそんなっ」

「いいんですよ。きっと、この子がバタバタと駆けてきたんでしょう」



そう言って、男の子の髪を優しく撫でた女性

それを真似する様に、隣にいた天使みたいな女の子も男の子の頭を撫でた




なんとも微笑ましい図

幸せを、そのまま形にした様な

そんな光景



でも、その前に一番気になる事

それは




「あの...失礼ですけど、どちら様でしょうか?」



こんな業者の人いなかったし、お客さん...って感じでもないし

誰なんだろう



そう思って、微かに首を傾げた私を見て

もう一度ニッコリ笑った女性


そして、口を開けようとした

その時


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