太陽と月


そう言って、いつもの様にニッコリと笑った後、クルッと後ろを振り返って歩き出した主任

すると




「大西くん」




不意に呼び止めた女性の声に主任も足を止めて、振り返る

そんな主任に、ニッコリと微笑んだ女性が




「ちゃんと休まなきゃ駄目だよ」




そう言って、私にも小さく会釈した後、事務所の中に入って行った藍原さん


パタンと無機質な音が廊下に響く

外から聞こえるセミの鳴き声が、止まっていた世界を動かし始める




それでも、残された私達は

何も言わずに、その扉を見つめた

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