太陽と月


痛いくらいの静寂が私達を包む

隣にいる主任の顔を見る事ができない



それでも微かな間を置いてから、何も言わずに踵を返した主任

早歩きで、まるで逃げる様に裏口に向かった




「主任! 待ってください!」




その後を慌てて追う

早歩きだった主任は、あっという間に外まで出てしまっていて、私も急いで裏口を抜けた



途端に襲い掛かる真夏の太陽

痛いくらいの日差しに、思わず目をしかめた




「主任!」



それでも、慌てて大西主任の背中を追う

すると、私の声が届いたのかピタリと足を止めた主任

一瞬ホッとしながら、同じ様に私も足を止める



ミーンミーンとセミの鳴き声が耳に響く

ジリジリと刺す様な日差しに、息もできなくなる

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