太陽と月
「会ったらきっと、傷つけてしまう」
大きな瞳を伏せて、小さく呟いた藍原さん
その姿を見て、勢いに任せてそんな事を言った自分が恥ずかしくなった
「すいません...変な事言ってしまって」
「ううん。ありがとう」
伏せていた瞳を上げて微笑む彼女
本当に優しい藍原さん
同じ女の私から見ても、憧れてしまう
綺麗で仕事もできて、包み込む様な優しさを持っている
私にはない、すべてを持っている
「瀬川さんは、大西くんの事が好きなのね」
そんな中、突然小さく聞こえた声に勢いよく顔を上げる
すると、クスクスと微かに笑う藍原さんが私を見つめていた
驚きのあまり声の出ない私は、真っ赤になりながらパクパクと口を動かすしかできない
「顔に書いてあるわよ。大西くんが好きだって」
「そんな事っ」
「そうじゃないの?」
慌てて否定しようとした私に、首を傾げて聞いてくる藍原さん
その顔は、もう私の何もかもお見通しな顔だった
だから、もうこれ以上否定しても意味がないと思って、小さく頷いた