太陽と月


それなのに



「ア…アイス!!アイス持ってきましたっ!!」



そう言って、手に持っていたアイスを勢いよく主任に差し出す

少し袋に水滴が溜まっていて、見るからに溶けているアイスを



そんな意味不明な行動を取った私を見て、一気に端正な顔を崩した大西主任

大きな瞳を垂らして、まるで子供の様に笑った




「あははっ!! スゴイ勢いでくるから、何かと思ったら、アイスかよ!!」

「だっ・・・だって! 主任、さっきアイス食べたいって言ってましたからっ」

「うん・・・そうだな。食べたかったよ」



苦しそうにお腹を押さえながら、笑いを噛み殺す主任

そして瞳に微かに溜まった涙を拭って、私の指先からアイスを受け取った




「さんきゅ」




そして、手に持ったアイスを眺めながら小さく微笑んだ


それでも


心はずっと――ずっと遠くにあるようだった



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