太陽と月


何も言わずに私を見つめる大きな2つの瞳

どんどん空気が薄くなっていく様な世界



何か言わなきゃと思うのに、言葉が出てこない

それでも、ぐっと唇を噛みしめて震える体を押さえて声を出した




「私じゃ…ダメですか?」

「――」

「私じゃ、主任の‥太陽にはなれませんか?」




大西主任が太陽だったと言った、藍原さん

優しくて、温かくて、まるで陽だまりの様な人だった



でも、その陽だまりはもう――主任を照らす事はない

ただ1人に、今も昔もこれからも注がれるんだ




あの真っ黒の瞳が綺麗な星野支配人に




それを後ろから見ているなんて

そんなの悲しすぎる



そんなの

間違ってる――――
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