太陽と月

私を見つめるだけで、一向に口を開かない大西主任

そんな眼差しから逃げる事もできずに、足がすくむ中、ただただ大きな瞳を見つめた

すると





「――・・・悪い」




ふっと急に瞳を伏せた主任が、小さくそう言う

その瞬間、ポタリと主任が持っていたアイスから水滴一粒落ちた




「俺は、誰とも付き合うつもりはないから」

「――」

「瀬川は、俺の大事な部下で。それ以上でも、それ以下でもない」

「しゅに…」

「今も、これからも。それは変わらない」




思わず口を挟もうとした私を、主任のどこか強い声が遮る

これ以上何も言わせない様に



ううん―――何も聞きたくない様に






「・・・待ってるんですか?」




零れた言葉は、本当に無意識だった

そして、言ってはいけない言葉だったのかもしれない

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