太陽と月
「藍原さんの事…待ってるんですか?」
それでも、バカな私の口は止まらない
思った事を何も考えずに、ポロポロと落としていく
何度も甦る、あの主任の横顔
愛おしそうに、大事そうに
それでいて、今にも泣き出しそうに
目の前の幸せそうな家族を見て、目を細めたあの姿が今も離れない
「叶わないって分かってるならっ――」
「もういい」
瞳を伏せたままの主任に一歩近づいてそう言った時、主任の大きな声で塞がれる
思わず口を噤んだ私を見つめる主任
その瞳のあまりの冷たさに息を飲んだ
まるで、私を拒絶しているみたいだったから
「もうやめろ」
「――」
ガラガラと主任と一緒に積み上げてきた物が崩れる
再び積み上げる事なんてできない程に
ガラガラと
音を立てて