太陽と月



「俺は、俺の思う様に誰かを想う」

「――」

「それが間違っているかどうか決めるのは、瀬川じゃない。俺だ」



そう言って、ゆっくりと立ち上がった主任

ポタポタと、すっかり溶けてしまったアイスの袋から水が滴り落ちる




「――それは、ずっと変わらないんですか?」




まるで泣いている様だと思って、大理石の床にできた水溜りを見つめながらそう言う



この先、どんな事があっても

その気持ちは変わらないの?

この先ずっと――?




「どんなに悲しい事が起きても、どんなに辛い事があっても、主任の気持ちは変わらないんですか? そんなの…」




切なすぎる

そんなにも心から好きな人が、永遠に自分を見てくれる事がないと分かっているのに

想い続けるなんて――辛すぎる




思わず悔しくて、悲しくて俯いた私

すると、ふっと微かに息の下で笑う声が聞こえた

そして




「そんな事、とっくの昔に覚悟してる」



そう言って、私の横を通り過ぎていった

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