太陽と月
◇
「はぁ‥‥」
体の奥底から出した様な、深い深い溜息が真っ暗な道端に零れる
トボトボと進んでいる様な進んでいない様なスピードで、家路を進む
まるで何か重いものを担いでいる様に、体が重くて仕方ない
「はぁ…」
鉛の様に重たい足も、遂に溜息と一緒に動きを止めた
頭に浮かぶのは、大西主任の事ばかり
もう進む事のない私と大西主任の時間を
巻き戻して、何度も何度も思い返す
楽しかった時間や
笑い合った時間
叱られた時間や
一緒に悩んだ時間
どれもこれも宝物の様に輝いているのに
思い出せば思い出すほど
その思い出が遠くなる
きっとそれは
もう戻れないと分かっているから――