太陽と月







「はぁ‥‥」



体の奥底から出した様な、深い深い溜息が真っ暗な道端に零れる

トボトボと進んでいる様な進んでいない様なスピードで、家路を進む

まるで何か重いものを担いでいる様に、体が重くて仕方ない



「はぁ…」



鉛の様に重たい足も、遂に溜息と一緒に動きを止めた



頭に浮かぶのは、大西主任の事ばかり



もう進む事のない私と大西主任の時間を

巻き戻して、何度も何度も思い返す



楽しかった時間や

笑い合った時間

叱られた時間や

一緒に悩んだ時間



どれもこれも宝物の様に輝いているのに

思い出せば思い出すほど

その思い出が遠くなる



きっとそれは

もう戻れないと分かっているから――


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