太陽と月
涙が込み上げてきて、勢いよく空を見上げた
あの桜が綺麗だった日、大西主任に言われた通りに――
すると
「満月だ...」
星1つない真っ暗な夜空に、ポツンと輝く満月
東京の狭い空に、たった1つだけ浮かんでいる
いつもは綺麗だと思うのに、どうしてだろう
今日の満月は、なんだかとても寂しそうに見える
何もない夜空に、たった1つだけ輝く月
それが、まるで自分の様だと思った
眩しい程に輝く太陽と相反する様に
ひっそりと、輝く月
出会う事のない
結ばれる事のない、2つのもの
太陽に憧れて、負けない様に一生懸命輝きを放つ月
それが何故か、とても滑稽に思えた
「お月さん...あなたも寂しいの?」
ポツリと浮かぶ月にそう呟いた