太陽と月


カンカン

カンカン




アパートの階段をゆっくりと上がっていく

今にも転がり落ちそうになるけど、最後の踏ん張りだと思って、足に喝を入れる




部屋に帰ったら、思いっきりベットに倒れ込もう




項垂れながら、トボトボと自分の部屋までの廊下を歩く

すると




「あ、おかえり」




冷たいコンクリートしか見えていなかった世界に、どこか聞き慣れた声が響く

勢いよく顔を上げると、私の部屋の扉の前に立つ莉奈さんがいた




「ちょうど良かった!! ポテトサラダ作りすぎたから持ってきたよ~」




茫然と立ち尽くした私に、ニッコリ笑って何か入っているであろう袋を持ち上げた莉奈さん

その笑顔を見て、ずっと我慢していたものが溢れてきた


< 167 / 353 >

この作品をシェア

pagetop