太陽と月
莉奈さんが淹れてくれたお茶を握りしめながら俯く
そして頭の中で何度も何度も甦る、あの光景をそのまま口にした
「藍原...悠理さん」
「―――え?」
「その人が..大西主任の運命の人、なんだよね?」
その名前を口にして、ゆっくりと伏せていた瞳を上げる
すると、目の前には複雑な顔をして私を見つめる莉奈さんがいた
「今日――会ったよ。星野支配人のお嫁さん。子供も...2人いた」
「――」
「すぐに分かった、大西主任の好きな人は、この人だって」
あんな横顔初めて見たから
愛しくて愛しくて、仕方ないって顔
絶対、私には向けられる事のない顔
「花音――」
「私、フラれちゃった」
「え?」
「大西主任に、フラれちゃった」
何か言い出した莉奈さんの言葉に被せてそう言う
どこか自嘲気に笑いながら
「フラれちゃった」
言葉にすればするほど
心に受けた傷が疼く