太陽と月
「莉奈さんに私・・・主任の側にいれるだけでいいって言ったのに…私、欲張りだから――誰かを見てる主任を‥ただ見てるなんて、できなかった」
「――」
「どうしても私を見て欲しかった。気づいてほしかった」
側にいれるだけで幸せなんて、そんなの綺麗事だ
好きが大きくなればなるほど、その人を独占したくなる
自分勝手になる
同じだけのものを、返してほしくなる
こんなに好きなのに
どうして――って。
「花音・・・」
唇を噛みしめた私を、優しく抱きしめてくれた莉奈さん
その温かさが胸に染みて、涙がどんどん溢れる
「主任はっ...ずっとずっと...こんな気持ちのまま今まで過ごしてきたのかな」
大好きな人には、他に大好きな人がいて
結婚して
子供もできて
その度に、深い深い絶望に苛まれているのかな
その度に、こんなに涙が枯れ程泣くのかな
その度に、壊れてしまいそうな心を抑え込んでいるのかな