太陽と月
「だって、こんなに涙が出るくらい好きなんだよ」
「花音...」
「これ以上、誰かを好きになんてなれないよっ」
震える声でそう言って、莉奈さんの胸に再び飛び込んだ
何度も何度も繰り返される主任の笑顔
太陽みたいに眩しくって、温かい笑顔
愛しさと切なさが混ざって
胸が掻きむしられる
ぶつけようのない想いが、胸の中で暴れて
涙が止まらなかった
「どうしてっ私じゃないのぉ?」
きっと何度も何度も大西主任の通った、この道
張り裂けそうな胸を押さえて、主任は何度、あの人の為に涙を流したんだろう
「大西主任っ」
私はこんなにも想っているのに、どうして藍原さんじゃなきゃダメなの?
だけど、運命の人だと気づいた時には
もう全部遅くて
終わりの見えない迷路の中で、何度も涙を流すんだ
――その日の夜は
泣き止まない私を、莉奈さんはずっと抱きしめていてくれた