太陽と月
それから星野支配人について、1日中いろんな事を教えてもらった
上司や先輩のみんなは、口を揃えて「いいなぁ~」とぼやいていた
でも、私には大西主任がいい
太陽みたいに笑う、あの笑顔がいい
◇
「瀬川急げ」
帰宅ラッシュでごった返す駅周辺を、星野支配人の後ろに並んで進む
田舎育ちの私にとっては、こんなに人で溢れかえっている道を歩く事は慣れていない
進行方向とは逆に進む私達に向かってくるスーツの団体
そんな中でも、縫う様にスイスイと前に進んでいく星野支配人
真似したくても真似できない
「ちょっと...待ってくださいっ――星野支配人」
肩にかかっていたバックがいろんな所にぶつかって、思う様に前に進めない
徐々に見えなくなっていく支配人に、思わず声を出した