太陽と月


それから星野支配人について、1日中いろんな事を教えてもらった

上司や先輩のみんなは、口を揃えて「いいなぁ~」とぼやいていた



でも、私には大西主任がいい

太陽みたいに笑う、あの笑顔がいい









「瀬川急げ」



帰宅ラッシュでごった返す駅周辺を、星野支配人の後ろに並んで進む

田舎育ちの私にとっては、こんなに人で溢れかえっている道を歩く事は慣れていない


進行方向とは逆に進む私達に向かってくるスーツの団体

そんな中でも、縫う様にスイスイと前に進んでいく星野支配人

真似したくても真似できない




「ちょっと...待ってくださいっ――星野支配人」




肩にかかっていたバックがいろんな所にぶつかって、思う様に前に進めない

徐々に見えなくなっていく支配人に、思わず声を出した


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