太陽と月
「大丈夫か?」
ぐっと奥歯を噛みしめて、立ち上がろうとした瞬間、聞き覚えのある声が聞こえた
勢いよく顔を上げると、星野支配人が私に大きな手を差し出していた
「すっすいません!! 本当私ドジで...」
「いや。悪い。早く歩きすぎた」
ヘラヘラと笑う私に、星野支配人がいつものポーカーフェイスでそう言う
そして、なかなか手を差し出さない私の腕を掴んで勢いよく持ち上げた
途端にふわりと浮く体
やっと地面に足がついて、視線が高くなった
「こっちだ」
すると、いつの間にか私の散らばった書類を纏めた支配人が、私の腕を掴んで道の端に連れて行く
ひょこひょこと痛む足を押さえて、連れられるまま支配人の背中を追った
そして、近くにあった小さなベンチの前で立ち止まって振り返った
「とりあえず、座って」
「え?」
「手、怪我してるだろ」
そう言って、私の手に視線を落とした支配人
その視線の先を見ると、赤黒く光る血が手の平に滲んでいた