太陽と月
「座って」
何も言わずに立ちすくむ私に、もう一度催促してそう言う支配人
有無を言わせないそのオーラに、大人しく座るしかなかった
すると、おもむろにカバンの中からティッシュと絆創膏を取り出した支配人
そして何故入っているか謎だが、消毒液まで取り出して私の手を持ち上げた
「少し沁みるぞ」
傷口を見たまま、そう言って
優しく私の手に、消毒液を染みさせたティッシュを押し当てた
途端にピリッと電気が体中に走る
思わず瞳を歪めた私をチラリと上目使いで見た後、絆創膏をそっと傷跡に乗せた支配人
「家に帰ったら、もう一度消毒しろよ」
「あ...ありがとうございます」
「他は怪我してないか」
勢いよくお辞儀をした私に、微かに表情を緩めて聞いてきた支配人
その言葉に自分の体をブンブンと見渡すが、これと言って大きな怪我はなかった
「大丈夫みたいです」
「それならいい」
「あの...星野支配人?」
「なんだ」
テキパキと消毒液やらをカバンの中に仕舞う支配人にオズオズと声をかける