太陽と月
「私の実家の近くでは、流れ星も見えるんですよ」
今にも再び足を前に出して立ち去りそうな大西主任に声をかける
すると、未だに空を見上げたまま主任が口を開く
「流れ星か...俺は1度しか見た事ないな」
「私は小さい頃よく両親に河原に連れて行ってもらって流れ星を探しました。それで、流れ星を見つけては願い事を――」
幼い頃の、他愛もない願い事
でも子供の頃は、本当に願い事が叶うと思っていた
――叶うはずなんて、ないのに
なのに、どうしてだろう
今はそんな子供染みた事に、縋りつきたくなってしまう
もし、願いが叶うなら
大西主任と―――って
ふと、空を見上げていた顔を元に戻して
空を見上げる主任に目を移す
端正な横顔が暗闇の中に浮かび上がる
愛しくて愛しくて
仕方ない人―――
それでも、変わらずどこか切なそうな横顔
その瞳は、ずっとずっと遠くを見ている様で――
ありえるはずがないのに
その先に自分がいればいいだなんて
都合のいい事を考えた