太陽と月
一度ニッコリ微笑んだ後、折っていた腰をもとに戻し
立ちすくむ私の横を通り過ぎて、大きなガラス張りの窓を開けた大西主任
眩しい光が入り込んで、世界がキラキラと輝く
「瀬川さんは、ここを見てどう思った?」
眩しそうに瞳を細めながらも、柔らかく微笑む大西主任
その姿を見て、思った事をそのまま口に出す
「感動..しました。こんな綺麗な世界があるんだって」
まるで夢の国――
磨き上げられた大きな窓に
太陽の光を反射する白亜の邸宅
咲き誇る薔薇の香りが、ここを異世界へと変える
小さく呟いた私の言葉を聞いて、嬉しそうに微笑んだ大西主任
そして、ゆっくりと私に近づいてきた
「合格」
「――え?」
「単純だけどさ、その気持ちが一番大切なんだよ」
「――」
「俺達は感動を売る仕事だからね」
そう言って、嬉しそうに微笑んで再び目の前にある大きな扉に手をかけた大西主任