太陽と月



「主任は今、何を願いますか?」



そんな横顔を見ながら、思わずそう呟く

すると、ゆっくりと私に視線を移した主任が、何も言わずにじっと私を見つめる




「さぁ。どうだろうな」




どこか自嘲気にそう言って、笑った主任

まるで私と主任の間に厚い壁があるみたい




「――瀬川は、何を願う」




すると、大きな瞳を細めてそう言った主任

その言葉に、さっきから何度も繰り返していた言葉が浮かぶ

一瞬迷ったけど、それでも思い切って口を開いた




「私は――大西主任が・・・私を見てくれます様にって」




真っ直ぐにそう言った私を見て、一度大きく瞳を見開いた主任

そして、再び自嘲気に笑って、瞳を伏せた




「こんな俺のどこがそんなにいいの?」

「――」

「諦めなよ。幸せになんてなれないぞ」




私の目を見ないで、そう言った主任

まるで、自分に言い聞かせているみたいだと思いながら、その姿を見つめた

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