太陽と月
「――今度の星野支配人とのお客様。私初めて1人で担当する事になったんです」
何も言わずに、ただ見つめ合う空間の中に私の声が落ちる
――実はあの日、星野支配人から言われた
今から打合せに入るお客様がいるから、当日まで全部担当してみろって
すべての打合せから、挙式、披露宴の運営
当日のバイトや料理、提携会社すべてを仕切ってやってみろって
正直、不安で仕方なかった
まだ満足に仕事もできないのに、全部1人で担当だなんて――って
それでも、いつかは通る道
自分を信じてやってみろ。
そう支配人に言われた
想像しただけで、足元から緊張と不安が駆け上がってくる
以前体験した、あの会場中の目の冷たさを思い出す
また失敗したら、どうしよう――
そんな恐怖に、押し潰されそうになる
それでも
ユラユラ揺れる心を抑え込む様に、ぎゅっと力強く拳を握る
そして、変わらず私を見つめる主任を見つめ返す