太陽と月


「――以上だ」



チラリと横目でさりげなく私を見た後

まるで何も見なかったかの様に、再びパソコンを打ち始めた星野支配人

カタカタという軽快な音を聞きながら、バタバタと資料をかき集めた



やっぱり、まだまだドジな私

それでも、やっとスタートラインに立てた


書類を拾い集めながら、少しづつ湧き上がる喜びに頬を緩めた








それからは、もう頭がパンクするかと思う様な日々だった



初めての打合せは、もう緊張でガチガチだった

それでも、唯一完璧になった営業スマイルで乗り切る



――というか、打合せ中は新婦さんはもちろんだけど、新郎さんまでもが隣にいる星野支配人ばかり見ていて、私なんて視界に入っていなかった様に思えた



それでも、何かを誰かと一緒に作り上げていく楽しみと

お客さんから頼りにされているという、嬉しさと

やっと社会人らしくなってきた、くすぐったさとで、打合せは毎回とても楽しかった


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