太陽と月
「――以上だ」
チラリと横目でさりげなく私を見た後
まるで何も見なかったかの様に、再びパソコンを打ち始めた星野支配人
カタカタという軽快な音を聞きながら、バタバタと資料をかき集めた
やっぱり、まだまだドジな私
それでも、やっとスタートラインに立てた
書類を拾い集めながら、少しづつ湧き上がる喜びに頬を緩めた
◇
それからは、もう頭がパンクするかと思う様な日々だった
初めての打合せは、もう緊張でガチガチだった
それでも、唯一完璧になった営業スマイルで乗り切る
――というか、打合せ中は新婦さんはもちろんだけど、新郎さんまでもが隣にいる星野支配人ばかり見ていて、私なんて視界に入っていなかった様に思えた
それでも、何かを誰かと一緒に作り上げていく楽しみと
お客さんから頼りにされているという、嬉しさと
やっと社会人らしくなってきた、くすぐったさとで、打合せは毎回とても楽しかった