太陽と月


「しゅっ主任っ!! 丈夫ですか!?」

「いってぇ~・・・」

「すいませんっ!! 私石頭で!!」

「みたいだな」




大きな瞳に涙を浮かべながら、私を横目に見る大西主任

どうしたものかとアワアワしながら周りを見渡すと、ここが車の中だと分かって記憶が一気に甦る




――そうだっ!!

もう遅いからって、大西主任が車で送ってあげるって言ってくれて...

ウキウキの気分で乗り込んで..

でも、ゆらゆら気持ちよく揺れる車内で....




寝てたぁ――――っ!!!!





「すいませんっ!! 私寝ちゃってましたねっ」

「ご丁寧にヨダレまで垂れてたぞ」

「え!!」

「うそ。気持ちよさそうに寝てたよ」



一気に血の気の引いた私を見て、クスクスと笑う主任

そして気怠そうにハンドルに体を預けて、小さく息を吐いた



「――で。ここらへんだとは分かってるんだけど、家はどこ?」

「あっ! すいませんっ! えっと...あ。ここを左です」

「左ね」



キョロキョロと辺りを見渡して、見覚えのある景色にぶつかって急いで道案内をする

そして真っ暗な道を、ゆっくりと走りだした


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