太陽と月


「ありがとうございました」



ダムッと車の扉を締めて、外で深々とお辞儀をする

顔を上げると、車の窓を開けて私を見つめる瞳があった



なんだか、いつもの見慣れた景色の中に大西主任がいる事が不思議に思えた


そして、それと同時に無意味に輝きだす景色

何もない景色なのに、特別に思える

恋って偉大だ




「あんまり無理すんなよ」

「主任も、ちゃんと休んでくださいよ」

「俺はいいんだよ」

「ダメです。今月1回しか休んでないですよね?」

「よく知ってるな」

「――」



関心した様に目を見開いた主任を見て、恥ずかしくなる



だって、主任の事ずっと見てるもん

ずっと見てたから、知ってるよ。それぐらい


でも、それが知られる事が恥ずかしくて、勢いよく再びお辞儀をした

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