太陽と月
つい最近まで、どこにでもいる様なただの学生で
毎日なんとなく過ごしているだけだった
将来の夢なんてなかったし
みんなに合わせる様に、就職活動をしてた
その結果就職先が見つからず、ただ勢いのまま、この世界に飛び込んだ私だったけど
それでもこの瞬間、選んだ道は間違ってなかったって思えた
ゾクゾクと体が震える
煌びやかな世界に心が躍る
「私...頑張ります。不器用で、失敗ばっかりですけど..頑張ります」
目の前の世界が眩しくて、思わず目を細めながらそう言う
右も左も分からない事だらけで、きっと迷惑をかける事もあるだろうけど
自分なりに頑張ってみたい
目の前に広がる世界は何もなかった私に、そうまで思わせてくれる
私の言葉を聞いて、嬉しそうに微笑んだ大西主任
ゆっくりと近づいてきて、再び私の目線と同じになる様に腰を折った
「申し遅れましたが、大西圭太です。この式場の主任をしてます」
「え?」
急に自己紹介を始めた大西主任に目が点になる
そんな私を見て、もう一度深く微笑んだ主任
大きな猫目が垂れて、辺りがパッと明るくなる