太陽と月


それから、何度か余興の練習に訪れた南様と友人

新郎さん友人はみんなとても気さくな人達で、打合せもいつも楽しく過ごしていた

だから、仕事帰りからやってくる友人達の余興練習の終わる時間が、例え終電ギリギリだろうと全く苦じゃなかった





「お疲れ様でした」




そして、今日も夜遅くまで余興練習



すっかり静かになった世界に、疲労感を少し浮かべた皆さんをお見送りする

あんまり良くないんだろうけど、お客様というより、お友達みたいになってきた




「悪いね。いつも遅くまで」

「いえっ! いつも楽しませていただいてます」

「そう言ってもらえると助かるよ」




ブンブンと勢いよく頭を振った私を見て、いつもの柔らかい笑顔で笑う南様

遠くの方では、いつもの様にワイワイと友人達が楽しそうに話している




「瀬川さんは、いつも通勤は電車?」

「はいっ。毎朝満員電車と戦ってます」

「あ~あれは、できれば体験したくないよね」



そう言って、クスクス笑う南様につられて笑顔になる

本当に南様と話していると、自然体でいられる




「今日も電車?」

「はい。片付けを終えたら帰ります」

「――あっと..じゃぁ、その後でいいから余興の事で相談があるんだけど――いいかな?」

「え? 今でもいいですよ?」

「いや。ちょっと他で確認したいものがあるから、後での方が助かるんだ」

「――そうですか。はいっ、大丈夫ですよ」



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