太陽と月
ゆっくりでいいから――。
そう言って、手を振る南様を背にバタバタと事務所へと向かう
チラリと腕時計を見ると、もう夜の10時すぎ
きっとみんな帰っているだろう
そんな事を思いながら、勢いよく事務所に駆け込んだ
すると
――ドンッ
「うぶっ」
何か大きなものに激突したと同時に
なんとも哀れな声が出た
ワンバウンドして跳ね返った私の肩を勢いよく掴んだ大きな手
そんな中、潰された鼻を押さえながら顔を上げると
「どうした? そんなに急いで」
少し驚いた様子で大きな目を見開いた大西主任が私を見下ろしていた
「じゅに″んっ」
「大丈夫か?」
鼻を押さえたままのせいか、鼻声でそう言った私を苦笑いを浮かべながら覗き込んだ主任