太陽と月


「未来は誰にも分からない。人の気持ちも街も何もかも、変わらないものなんて1つもない。叶わないと決めつけるのは、早いと思うけど?」

「でも..」

「それに大切なものが何もない事程、寂しい事はないよ」




穏やかな笑顔が私を包む

ユラユラと揺れていた私の心を、ゆっくりと元に戻してくれる




「何が幸せなのか決めるのは自分自身だけど、俺は何かを想って生きていたい。苦しくても、その〝何か″が支えてくれてるから」

「――」

「傷つく事から逃げても、後ろには何もないよ」

「――」

「辛い事があるからこそ、幸せだと思える事があるんだよ」




最後に私の目を見て、そう言った南様

真剣なその表情と口調を聞いて、思わず黙り込む

それでも




「あははっ、ちょっとカッコつけすぎたかな」




急に、いつもの穏やかな表情になって、ケタケタと笑い出した南様

その姿に思わず拍子抜けして、つられる様に頬を上げた


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