太陽と月
「緊張..しちゃって」
「誰だって始めはそうだ」
「大丈夫でしょうか..」
何度も何度も確認したのに、不安が拭いきれない
大西主任とパートナーを組んでやった結婚式での失敗がフラッシュバックする
その度に思い浮かぶ、あのお客様の冷たい視線
それを思い返すたびに、鉛を飲みこんだ様に体が重くなった
「自分を信じろ」
そんな中、低くどこか甘い声が鼓膜に届く
ゾクゾクと背中を駆けるその声に、思わず顔を上げた
すると、さっきと変わらず横目で私を見て不敵に笑う星野支配人
真っ黒の瞳を細めて、私を見下ろしていた
「瀬川は今まで必死にやってきただろ」
「そのつもり...です」
「大丈夫だ。自分を信じろ。必ず成功する」
真っ直ぐに伸びる声が、スッと心の中に入る
絶対的安心感のある、星野支配人
この人が側にいるだけで、そう言ってくれるだけで、まるで魔法にかかった様にそう思えてしまう
すべて、うまくいくと思ってしまう