太陽と月
それから、緊張で顔の強ばった新郎さんをリラックスさせてから、まず1人でチャペルの中に入ってもらう
みんなの暖かい目に見守られて、ゆっくりゆっくりとバージンロードを進んでいく新郎さんの背中
パタンと扉を閉めると
下を向いた新婦さんと、上を向いているお父様がいた
必死に歯を食いしばって、涙を我慢する新婦さん
そして、いつの間にか、こんなに綺麗になった娘の姿を見て、溢れる涙を零さない様に天井を見上げる、お父様
その姿を見て、胸の奥が熱くなった
ズルズルと床一面に広がるドレスの裾を引きずりながら、扉の前に立った新婦さん
父親の腕に自らの腕を通して、必死に涙を堪えている
微かに聞こえるチャペルの中で響くバイオリンの音
それ以外は、息を殺したように静かな空間が広がる
そんな時、上を向いていたお父様がゆっくりと顔を下ろした
そして、俯く新婦さんの姿を横目でじっと見つめて
「大きく、なったな・・・」
擦れる声でまるで独り言の様にそう呟いて、大粒の涙を一粒流したお父様
フルフルと微かに震える唇を噛みしめて、新婦さんの姿をただただ見つめている