太陽と月

優しく告げられた言葉を聞いて、一瞬頭がフリーズする

ポカンと口を開けて固まった私を見て、クスクスと笑い出した主任


そして、自分の背に隠していた片手をゆっくり私の前に差し出した


その瞬間目の前に現れたのは、真っ白な純白の薔薇の花束

さっきバージンロードで集めていたものだ





「ブーケとブートニアの由来は、知ってるよな?」




驚いて、何も言えない私に優しく問いかける主任

その言葉を聞いて、以前主任に教えてもらった事を思いだす



ブーケとブートニアの由来―――


その昔、男性が女性にプロポーズをする時に自分の手で野の花を摘み、花束にして愛する女性に結婚を申し込んだ


そして、女性はそのプロポーズに「YES」の意味を込めて、その花束から一輪を抜き取り、男性の胸ポケットに差し込んだ



それが、ブーケとブートニアの由来




主任に教えてもらった通りに、言葉を紡ぐと、主任は満足そうに微笑んで



「よくできました」



囁く様に、そう言った

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