太陽と月
「おめでとーっ!!」
花びらと共に降り注ぐ祝福の声が、俺の耳の奥を焼く
その声を聞く度に、俺の何かが音を立てて壊れていく
当たり前の事なのに
祝福すべき時なのに
俺は、一度もその言葉を言えなかった
真っ白なドレスを引いたまま
彼女は俺の前を通り過ぎていく
――俺の手には、未だに沢山の薔薇の花びらが握られたままだった
彼女の後ろ姿を見て、ダラリと手を床に落とした
途端にハラハラと落ちていく花びら
まるで、彼女と過ごした思い出の様に――
ハラハラと
落ちていく
この両手から
いとも簡単に、零れ落ちていく