太陽と月


思い出にしなければいけない事は分かっている

諦めなければいけない事も分かっている



だって



どう足掻いても、彼女はもう俺を見てはくれない



これから共に歩いていくのは

共に支え合っていくのは

今、彼女の隣にいる人なんだから



分かっている

そんな単純な事

分かっている




それでも、どうしてだろう

息もできない程、胸が苦しい



張り裂けそうな、この想いも

壊れてしまいそうな、この心も




俺を離してはくれない




体が拒否反応を起こす

彼女を忘れる事に

彼女を切り離す事に



――彼女を思い出にする事に

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