太陽と月


自分でも驚いた



泣いている事に、気づかなかった事に

自分で思っている以上に、自分にはもう余裕がなかった事に



誰にも見つからない様に涙を拭うけど

一向に止まってはくれない、涙



ハラハラと落ちていく花びらと一緒に

パタパタと落ちていく、涙



心に蓋をしようとした瞬間

心が悲鳴をあげた



忘れたくないと、悲鳴をあげた




忘れると決めたはずなのに

それでも、この涙を見て俺は分かった




忘れる事なんて

初めから無理だったんだ――と

< 282 / 353 >

この作品をシェア

pagetop