太陽と月
悔し涙
初めての、本当の恋だった
初めての、気持ちだった
こんなにも愛しいと思えた人も
こんなにも守りたいと思えた人も
こんなにも側にいたいと思えた人も
彼女が初めてだった――
◇
止む事のない祝いの席は夜まで続く
飛び交う笑い声と祝いの言葉の中で一人、どこかに取り残されたような気分になる
まるで2人で1つの様にずっと隣で寄り添う2人
そんな中で何度も垣間見る、俺の見た事のない彼女の笑顔
その度に、狂ってしまいそうになる
俺の心の汚い部分が、何度も何度も俺を暗闇の中に引きづりこむ
そんな事に耐えられなくて、ゆっくりと席を立った
「あれ? 大西もう帰るの?」
「――すいません。実はあまり体調が良くなくて。みんなにうつすと大変なんで、お先に失礼しますね」
逃げる様に扉に手をかけた所を莉奈さんに止められた
それでも、振り向かずにそう言った俺の言葉を聞いて、莉奈さんは何も言わなかった
そして、返事を待つ事なく
俺は幸せに満ちた会場を後にした