太陽と月
ある、いつもと変わらない朝
――でもそんな日に限って、世界は動くんだ
「おはようございまーす」
いつものテンションで事務所の扉を開ける
いつもの朝
いつもの時間
それでも、目の前に広がっていたのは
いつもの風景じゃなかった
事務所の真ん中にできた人だかり
ワラワラと女性スタッフが円陣を組む様にしながら、黄色い声をあげている
なんだろうと微かに首を傾げた時、輪の端にいた子が振り返った
「あっ、おはようございます、大西さん」
俺の存在に気づいて、初めに声をかけてきたのは新入社員の子だった