太陽と月

ある、いつもと変わらない朝

――でもそんな日に限って、世界は動くんだ





「おはようございまーす」





いつものテンションで事務所の扉を開ける


いつもの朝

いつもの時間

それでも、目の前に広がっていたのは



いつもの風景じゃなかった




事務所の真ん中にできた人だかり

ワラワラと女性スタッフが円陣を組む様にしながら、黄色い声をあげている

なんだろうと微かに首を傾げた時、輪の端にいた子が振り返った




「あっ、おはようございます、大西さん」




俺の存在に気づいて、初めに声をかけてきたのは新入社員の子だった
< 293 / 353 >

この作品をシェア

pagetop