太陽と月
ワイワイと騒がしい事務所
その中心にいるのは、朝日を浴びながら幸せそうに微笑む彼女
――幸いだった事は、お腹の父親が今日は休みだって事
きっと、側にいたら
俺はこの場所に立っていられなかったかもしれない
あまりにも、それは辛すぎて
きっと見ていられないと思う
円の中心にいる彼女の側で
何度も彼女のお腹を触るスタッフの様子を、ただ茫然と見つめた
頭が動かない
音が遮断される
分かっていた
こんな日が来る事くらい
でも、どうしてだろう
胸が張り裂けてしまいそうだ
何も変わっていなかったのは俺だけで
周りはどんどん前に進んでいた
あの人に抱かれる悠理さんが
あの人と過ごす悠理さんが
幸せそうに寄り添う2人の姿が
何度も何度も脳裏に浮かんで
俺は思わず瞳を閉じた