太陽と月

ワイワイと騒がしい事務所

その中心にいるのは、朝日を浴びながら幸せそうに微笑む彼女

――幸いだった事は、お腹の父親が今日は休みだって事



きっと、側にいたら

俺はこの場所に立っていられなかったかもしれない



あまりにも、それは辛すぎて

きっと見ていられないと思う



円の中心にいる彼女の側で

何度も彼女のお腹を触るスタッフの様子を、ただ茫然と見つめた



頭が動かない

音が遮断される



分かっていた

こんな日が来る事くらい



でも、どうしてだろう

胸が張り裂けてしまいそうだ




何も変わっていなかったのは俺だけで

周りはどんどん前に進んでいた




あの人に抱かれる悠理さんが

あの人と過ごす悠理さんが

幸せそうに寄り添う2人の姿が




何度も何度も脳裏に浮かんで

俺は思わず瞳を閉じた



< 296 / 353 >

この作品をシェア

pagetop