太陽と月
事務所から、彼女の姿が消えた
俺の世界から、彼女がいなくなった
笑顔も
俺を呼ぶ声も
もう、ない
どこに行っても
どこを探しても
彼女はいない
唯一感じ取れるのは
皮肉にも、星野部長からだけだった
「星野~、悠理元気~」
「昨日も聞いただろ、それ」
「ね~元気なの」
「――あぁ」
耳を塞ぎたくなるのに
聞いてしまう
今まで、俺の世界には必ず彼女がいた
想い続けてから、ずっと――
だから、いなくなって
会えなくなって
壊れてしまいそうだった
会えない日々が、想いを募らせて
どんどん俺の中に降り注いでいく
忘れるはずが
どんどん思い出が色濃く発色して
俺を深い深い場所へ引きづりこんでいく