太陽と月


例え、どんなに傷ついてもいい

その先に、何もなくても――


それは、あの鐘が鳴ったあの日に覚悟した事



幸せな未来があるとは思っていない

それでも、想う事を止められない




――愛しているから





「ねぇ、莉奈さん」

「――ん?」

「大切なものができても、叶えられない人と。大切なものができない人。どっちが幸せなんですかね」




込み上げる想いは、誰に届くんだろう

この両手に抱えきれない程の、想いは――



ただ、1つ分かっているのは



あの日、一緒に笑い合った

あの人には、もう届かない



胸の奥に覚えた痛みは、彼女を好きな証拠

だったら、その痛みすらも

俺は守っていきたい


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