太陽と月



「どっちが…幸せなんですかね」




擦れ声でそう言う俺を、ただじっと見つめる莉奈さん

その眼差しに耐えられなくなって、重たい腰を上げた




「そろそろ戻ります。みんな心配しますから」



一度強く瞳を閉じてから、振り返ってニッコリ笑う

そんな俺を見て、悲しそうに瞳を細めた莉奈さん




「私は、あんたには誰よりも幸せになってもらいたいよ」




俯いたままポツリと呟いた言葉は、きっと莉奈さんの本音

優しい人だから、今も昔もダメな俺を影で支えてくれていた



それでも、彼女にも

今では支えなければいけない人が他にいる




「莉奈さんも、誰よりも幸せになって下さいね」

「――ほんと...あんたは、いつも人の幸せばっかり」




ゆっくりと立ち上がった彼女は

悲しそうに唇を噛んだ


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