太陽と月
「あんた、笑わなくなったね」
「――」
「笑えてないよ。全然」
そう言って、スタスタと俺の隣を横切って行った莉奈さん
その姿を、ただじっと見つめて
見えなくなるまで、ただ茫然と立ち尽くした
「笑えていない...か」
なんとなく、分かっていた
心から笑った事、ここ最近なかったから
悠理さんと、莉奈さんと一緒に働いていた頃は
毎日が楽しくて、輝いていて、笑顔に溢れていた
だけど今は―――
ゆっくりと辺りを見渡すと
薄暗い待合室には
もう誰もいなかった