太陽と月


細くて白い、綺麗な手

俺の手をギュッと握りしめて、か弱いながらも引っ張られる

最後に勢いよくバルコニーに飛び乗ると、満足そうに微笑む彼女がいた



その後ろに目をやると、現れたのは見た目より大きなバルコニー

大人3人は寝転べる程のスペースだ





「こんな場所があったんですね」

「ふふっ、私も清掃業者の人に教えてもらったの」

「なるほど」

「私の秘密の場所」




そう言って、ニッコリ笑った彼女は

まるで子供の様に無邪気だった





「星野部長にもですか?」

「当たり前じゃない。言ったら、危ないから行くなとか言われるに決まってるじゃない」

「あははっ、そうかもしれませんね」

「変な所で心配性なんだよ、あの人」




きっと、それは悠理さんの事が大事だからですよ。




そう思ったけど、その言葉は飲み込んだ

それよりも、星野部長も知らない事を

俺に教えてくれた事が嬉しくて

笑みが零れた

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